天体観測がお好きな方には、写真中央よりやや右上方に昴(スバル)を見つけられるでしょうか。
スバルは、冬の星座であるおうし座にあるプレアデス星団で、肉眼では6個の星が見えることから、
六連星(むつらぼし)という和名を持ちます。
また、群星の異名も持ち、沖縄では「むりぶし」、「むるぶし」、
また宮古・八重山では「むりかぶし」等と呼ぶようです。
この写真は、12月4日に栃木県那須郡で撮影しました。
右下方、明るく輝く星は木星。
左下方、赤い線を描いているのは飛行機です。
恩師ともいうべき大切な方を偲びながら見上げ、俳句を詠みました。
六連星仰ぎ師恩を思ひけり
(師匠・先生から受ける恩のことを、師恩といいます。)
私の恩師は、建築史家の岡田義治先生です。
岡田義治先生が復元・保存に尽力された建造物が、こちらの白い洋館。
栃木県那須塩原市の道の駅「明治の森・黒磯」敷地内の杉並木の奥に佇みます。
「旧青木家那須別邸」として国の重要文化財や日本遺産に指定されていて、内部を貴重な資料とともに見学することができます。
設計者は明治の建築家・松ヶ崎萬長(つむなが)。
明治時代にドイツ公使や外務大臣等を務めた青木周蔵の別邸で、ドイツ式の建築技術を用いて建てられました。
地元の方からは青木邸と呼ばれ親しまれています。
松ヶ崎萬長は、私の高祖父ということもあり、高祖父の研究に研鑽を積み建物保存に貢献された岡田義治先生には大変お世話になりました。
久しぶりに訪れた青木邸は、周りの木々の背が高くなっていて、時の流れを感じました。
道の駅も綺麗にリニューアルされ、訪れる人々の憩いの場となって、確かに今に生きている様子を目の当たりにし、感慨深いものがありました。
松ヶ崎萬長は台湾にも作品を残しました。
新竹市の新竹駅舎は、現存する台湾最古の駅舎でもあり、ありがたいことに台湾の国定古蹟に指定されています。
宮古島は台湾に近く、どちらも亜熱帯海洋性気候という気候分布も一緒だからか、
私は宮古島を初めて訪れたときから、例えようのないご縁を強く感じました。
萬長が見て感じていた台湾の風土に重なるような気もしたのです。
松ヶ崎萬長は、"松ヶ崎万長"や"松崎万長"とも表記されます。
冒頭の「スバル」のように、色々な読み方、呼ばれ方があることにも通じ、ご紹介に至りました。
何より、岡田義治先生の御功績に改めて敬意を表するとともに、
感謝と尊敬の意を表したいと存じます。
人との出会い、場所との出会い、
ご縁あって、こちらのブログに辿り着いてくださった方との出会いに感謝の気持ちでいっぱいです。
おかげさまで、宮古島で初めて迎える冬を静かに穏やかに過ごしています。
3枚目の写真は、宮古島の風景です。
本年もありがとうございました。
皆様、どうぞお健やかに良いお年をお迎えください。
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建築にご興味のある方は、
学術博士で一級建築士の植松清志先生がnoteに詳しく書かれていますので、
下記リンクから ぜひご覧ください。
・台湾の近代建築 建築家 松ヶ崎萬長 -地域のお宝さがし-67
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