天然の藍に触れる機会に恵まれ、藍染めの知識を深めている今日この頃。

宮古島で丹精込めて育てられているインド藍。

こちらは、国指定重要無形文化財の宮古上布保持団体の理事を務め製作技術の伝承に情熱を傾けている砂川美恵子さんの畑です。

9月上旬に刈り取りのお手伝いをさせていただきました。

砂川美恵子さんは、糸から染料まで、すべて自然のものを用いる宮古上布の伝統と技法を守り、自ら栽培した印度藍を染料として用いている染織・織作家で、宮古島に工房「相思樹」を開設しています。

収穫2日後、「綺麗な色が出るからね」と、お声がけいただき、泥藍(沈殿藍)づくりのお手伝いをしました。

色素が出た藍の枝葉を取り除いて、畑に還しに行った後、残った発酵液をザルで漉すとエメラルドグリーン色が表れました。
4人で260L分、黙々と作業しました。

消石灰を入れて数日攪拌を続けます。
フレッシュな藍色は本当に美しくて、ずっと眺めていたくなる工程でした。

藍液のPH値や気温などを確認しながら見計りや攪拌を続け、糸や布を染められる状態になるまでには、10日以上かかります。
また、藍液が仕上がったとしても、一日に染められる糸や布の量には限りがあります。
色素が減ると藍液の色も薄くなるので、休ませる時間も必要です。
黒糖や泡盛などの栄養を加えたり、灰汁などでPH値を調整したり、日々のお世話は欠かせません。

美恵子さんが大切にお世話をされた藍液で、私が染めさせていただいた日は、藍刈りをした日から約一ヶ月半後でした。

藍甕の中の液に浸し、あげたばかりの布は緑色。空気に触れて酸化が進むにつれて青色に変化します。(写真がないのが残念です…)

畑からいただいた豊かな色。

 

中学2年生の夏休みの自由研究で、「紫たまねぎで染色」に夢中になって以来、時々草木染めを楽しんだ頃のことを思い出しました。

化学反応による色の変化を見るのは純粋に楽しいです。


実践を通して、伝統工芸の知識を深める時間を持てるご縁に、感謝の気持ちでいっぱいです。
砂川美恵子さん、関係者の皆さま、心よりありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伝統的七夕

太陰太陽暦(いわゆる旧暦)の7月7日にちなんだ、かつての七夕の頃を、国立天文台では「伝統的七夕」と呼んでいます。

今年は8月29日が「伝統的七夕」の日でした。

現在の暦(新暦)の7月7日は、多くの場合、梅雨のさなかにあたってしまいますが、伝統的七夕の頃は晴天率が高く、星空が広がります。

今年も旧暦通り、美しい月と星を眺めることができました。

写真の月は午後9時ごろ、海に沈む途中の様子です。

 

時間は遡って、午前9時ごろの写真です。
同じ空に虹色の光を拝むことができました。

織姫は天の機を織る娘とされ、古くは雲や星の衣を織っていたとも言われていたそうです。
虹も織姫の作品でしょうか。
そんな空想を広げながら、晩春より夢中になった風鈴制作を振り返っていました。

 

 

日々黙々と過ごしているうちに季節は巡り、一年前と同じ星座に見守られていました。

晩春より夢中に制作し続けた宮古風鈴「島風」が多くの方々の元へ旅立った至福に浸りながら、今後のものづくりの糧にしようと心に誓いました。

 

 

 

 天の川 窓の額より 溢れけり

 

 

「七夕」も「天の川」も秋の季語。

 

風鈴の短冊に願いを込めて。

感謝を込めて。

 

 

8月もありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

宮古風鈴_島風

沖縄・宮古島の工芸品を取り扱うshop and gallery 叶(かな) さんのプロジェクト【宮古風鈴「島風」】を形にするお手伝いをさせていただきました。

 

宮古上布の原料である苧麻(ちょま)の繊維を撚ったり、ビーズを藍染めしたり、
ひとつひとつバランスを探りながら、祈るように制作しました。

 

制作過程で、思いがけず様々な光と影と音の風景を味わうことができました。

また、大変貴重な宮古上布や琉球藍に触れる機会に感謝が溢れて止みませんでした。

 

《宮古風鈴「島風」— 風と祈りをつなぐ》

 

宮古島の風を、音にのせて届けたい。

そんな思いから、「島風」は生まれました。

 

・短冊:宮古島の伝統工芸「宮古上布」

・ガラス部分:宮古島・上野《ガラス工房PONTE》作

・吊るし紐:宮古上布の材料である苧麻(ちょま)

・鳴り子を留めるビーズ:琉球藍染め

 

 

風鈴はもともと、音で災いを祓う「風鐸(ふうたく)」が起源で、

江戸時代には短冊を添えて「願いを風にのせるもの」として親しまれるようになりました。

 

また、七夕の短冊にも通じるように、風にゆれるその形には祈りの文化が息づいています。

織姫は天の機を織る娘とされ、古くは雲や星の衣を織っていたとも言われています。

その短冊に、400年の歴史をもつ宮古上布を重ねることで、想いを風に託すかたちとしました。

 

2025年の旧暦七夕は、8月29日。

宮古島では今も旧暦が息づき、空を見上げ、風に耳を澄ます季節です。

 

旅の記憶に。

大切な人への贈りものに。

そして日々の暮らしの中に——

風とともに届く優しい音色を、お楽しみいただけましたら幸いです。


 

 

 *桐箱入りでの販売です。

 Onlineでもお求めいただけます→ 

 ※おかげさまで、2025年分は完売しました!

 

【size S】

ガラス部分が小ぶり。モールデザイン2タイプ(ストレート/ツイスト)。

短冊には宮古上布に月桃紙を重ねた仕様ですので、願いを書き添えることもできます。 

 

【size L】

ガラス部分が大きめでシンプルなデザイン。

短冊に宮古上布を贅沢に用いていますので、素材の風合いをより堪能できる仕様。

 

 

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produce:

product design / photography: KIBI

島風logo calligraphy: Yuko Oshiro

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ご覧いただきありがとうございました。
おかげさまで、宮古島で、自然素材を生かしたものづくりに励んでおります。
KIBI(㐂日)としての活動もスタートしました。


今後ともよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 


 

うりずん

うりずん。

沖縄の古語で、初夏を表す言葉。

冬が終わり暖かくなり、日差しが強くなる前の、一年で最も爽やかな時。
「潤い初め(うるおいぞめ)」が語源とも。
梅雨前の最も過ごしやすい頃。

 

 

うりずんの風を纏いながら散歩。

海の向こうには大神島。

 

 

扇芭蕉(オウギバショウ)。

別名、旅人の木。
晴れた日は木々に太陽光がまっすぐ届き、影が濃くなり、南の島らしいコントラスト強めの風景を楽しめます。

 

 

透き通る美しい水の集まる場所で一句。

 

 

 「笹舟や水の流れを確かめり」

 

 

 

 

4月もありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

調身・調息・調心 

春休みシーズン。年度末。

 

ご卒業やご入学、ご入園。

新生活の準備でお忙しくされている方も多いと存じます。

 

確定申告が終わってホッとしている方もいらっしゃるでしょうか。

 

かくいう私も、木の芽時ということもあり、体調や心のバランスを崩しつつも忙しくしてしまっていました。

 

 

忙しかったり緊張が続くと、知らず知らずのうちに呼吸が浅くなっている自分に気づきます。

やることが多い時ほど、努めてゆっくりの呼吸を心がけたいものですね。

 

 

 

禅に、「調身・調息・調心」という美しい言葉があります。

 

「身がととのい、息がととのえば、心おのずからととのう。」

 

という意味です。

鎌倉の報国寺で座禅とともに教えていただいてから、生活に取り入れるよう心がけるものの、常に実践できるかというと、なかなか難しいものです。

 

情報の溢れる現代、意識的に情報から離れ、自然に身をおくことの大切さを実感する日々です。

 

 

波音を聞きながら静かに過ごす時間。

夕日を眺めながら、ゆっくり過ごす時間が尊いです。

 

土地とのご縁、人とのご縁、

様々なご縁に感謝をしながら、

けれど情報取得に受け身の姿勢は改めて、

バランスよく歩みたいものです。

 

 

皆様はどんな春をお過ごしでしょうか。

お身体を大切に、穏やかな日々をお過ごしになれますように。

 

 

 

 

 

 

 

 

島の息吹

足元の野花の息吹。

リュウキュウコザクラ。
4-5mmの小さな小さな白い花。さらに小さなツボミ。
見つけると、じっと見入って、しばし時の流れを忘れます。
可憐な姿と逞しい生命力。

背筋が伸びる思いです。

 

黄色い実はデュランタ、別名タイワンレンギョウ。
緑から黄のグラデーションに見入りました。

 

宮古島の緋寒桜(ヒカンザクラ)、通称ヒザクラ。
色が濃くて、蕊(しべ)がしっかりしていますね。

 

ヤブツバキもよく見かけます。
小ぶりでとても可愛らしいです。

 

島の春。

島の風に心身を浸しながら、

ゆっくりと味わうことのできる時間が至福です。

 

 

 

 

 

 

     



初春_2025

謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 

宮古島は曇りの日が続いていますが、柔らかな光で満ちています。

さとうきびの尾花があちらこちらに咲いていて、島の景色を彩ってくれています。

 

初詣は、静かな御嶽(うたき)へ行きました。

鳥の声や波の音、木の葉が擦れる音に耳を傾けながら手を合わせていると、自然と背筋が伸び感謝が溢れます。

 

 

2025年、皆様と皆様の大切な方々にとって、素晴らしい日々となりますように心よりお祈り申し上げます。